ナイロン100℃『消失』
紀伊国屋ホールでナイロン100℃『消失』を観た。感想書くのでこれから観る方はネタバレ注意です。
ナイロンを観るのは初めて。ケラはナゴムの頃から気になる存在だった。だから劇団健康を旗揚げしたときから何度も行こうと思ったことがあったのだが、何度となく機会を逃して10数年経ってしまった。今回は八嶋智人が客演ということもあって、楽しみにしていた。八嶋智人は『おかしな二人』で一度観ている。高橋克実とコンビで出ていて、『トリビア』や『ミラクルタイプ』まんまな演技が可笑しく、笑わされたっけ。
公演は、すごく良かった。
想像していたよりずっとずっと良かった。
「今回は笑いはないんだってさ」
ナイロンを今まで何度も観ている同行の友人はそう言ったが、私はとにかく観たことがないので、そっかいつもはかなりコメディなんだなとぼんやり思っただけだった。
開演して、なるほど、言葉のやりとりにクスッと笑うところはあってもドタバタしたものではまったくない。妙に胸にズシっとくる。
私は昔から、「記憶」を操作されたり、抹消されたり…というエピソードに弱い。条件反射のように心を揺さぶられるのだ。当然自分の身の回りでそんな現実が起きたことはないが、なぜか当事者の気持ちに入ってしまって胸が苦しい。そのせいもあるのかもしれないけど、『消失』は良かった。
月の話も哀しくてね、もうニ度と戻らない人々に思いを馳せたりしてみた。そうだ、なんか哀しい話だったんだ。笑う箇所はあっても全体のトーンは哀しいの。悲劇というんじゃなく、哀しい人間たちの話。
演出が良かった。ケラさんてやるなぁ。伊達に岸田獲ってないっすな! 映像の使い方がとってもカッコよかったし、使われたアニメのタッチが良くて、なんともイケてました。それに音楽。『Happy Together』がすごく効いてた。これにキュンときましたね。
役者さん達の演技は言うまでもない。なんて達者なんでしょう。
大倉孝二って大きいなぁー。知らなかったよ。まわりが小さいせいか際立っていた。
また観たいぞ、ナイロン100℃。
あ、でもね、パンフレットはやりすぎの感。ナイロンのパンフっていつもこんなに豪華なの? まるで写真集みたい。興味深い読み物ページもあるけど、豪華写真はこんなにたくさんなくてもいいからもう少し安くしてほしいなと思った。
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