2004.12.16

『ハウルの動く城』やっと観た

ハウルの動く城』はどうも賛否両論だなーと巷の意見を聞いて思っていた。
TVBros.の特集トビラでは酷評してたし。
観に行った友人が言うには、
「ファンタジックな恋愛モノだから女の子のほうが好きかもね」。
そっかー、私は宮崎アニメは前にもちょっと書いたけど、『未来少年コナン』、『ルパン3世 カリオストロの城』、『天空の城ラピュタ』あたりの冒険ものが大好きなのでちょっと違うかなと思いつつ、過度の期待は禁物と心得て観に行った。以下ネタバレ注意。


誰? これを酷評する人は。
いったい何と比べて?
私はとってもすてきな話だと思ったけど。
確かにファンの欲目と言われればそうかもしれない。でも、私は冒頭からすっかり魅了されましたよ。城動いてるの見て。ハウルの現れ方、カッコよすぎ! 軍人さんに絡まれてるとこを助けるなんてのはベタだけど。軍人さんしつこいけどコワイ人たちじゃなかったし。しかし、未だかつてあのような美青年が宮崎アニメに登場したことがあったでしょうか。ナルシストなとこもかわいいじゃないですか。ソフィーの手をとり微笑むハウルにうっとりだぁ。空中歩行シーンでは無条件に涙! これよこれ! これが観たかった!! 思うツボなんだろうなぁ。でもいいや。
ソフィーはすぐおばあちゃんの姿になってしまうものの、典型的な宮崎美少女の流れですよね。心優しく、明るく、芯が強い。私はクラリス、小山田マキ、シータあたりのキャラの顔立ちが一番好きなんだけど、まぁそれは好みの別れるところで。最近のほうが好きという人もいるでしょう。
それぞれのキャラもとっても魅力的で、楽しいおとぎ話を観たというかんじ。
私は客観性を失っている。もう宮崎監督の新作キャラが大画面を走り回ってるというだけでもう。あのうっとりするほど美しい背景と久石氏の音楽でもうもう。
しかし、正気に戻って言えばちょっと残念に思ったのは倍賞さんの声かな。声質が、少女でも90歳でもない。実年齢に近いんだなぁ。ジブリのアニメは声優をあまり使わないけれど、名優が名声優とは限らない。18歳から90歳まで、声だけで演技するのは大変なことだ。演技力があっても声質が合っていないと感じた。『ホルス』のヒルダ・市原悦子くらい微妙な気分。
一方、木村くんは良かった。ハウルに違和感がまったくなかった。ドラマで見るような木村ワールドじゃなかったし、役にハマっていたと思う。
それとソフィーの感情に合わせて若くなったり戻ったりするのは、ちょっとわかりにくい。 マルクルもカルシファーも反応しないということは、実際にはおばあちゃんのまま、観客とハウルだけが本来の姿を見ているということなのかな? それなら髪の色も戻した方がわかりやすいように思った。

新作を作る度にめちゃめちゃ高い評価を受けなくてもいい。日本映画の興業成績更新しなくていい。毎回有名な賞を受賞していてはプレッシャーが増すばかりだし、大好きな『天空の城ラピュタ』は多分無冠だけど(違ったらゴメン)すばらしいことを私が知っている。そうだね、3回つくって1回大当たりしてくれればいいと思う。次回作を作るのに十分な時間と潤沢な資金を得られ、スタッフが情熱を傾けられる環境を維持できればそれでいいの。そんなふうに思った。

B0002U0UKS.09.LZZZZZZZ
ハウルの動く城 サウンドトラック
久石譲

| | Comments (0) | TrackBack (3)

2004.11.10

『未来少年コナン』を見よう

「テレビアニメ、今まで見た中で何が好き?」
ともし聞かれたら(聞かれないけど)、私は間違いなくこれだ。

『未来少年コナン』

この作品がひさびさにNHKで再放送されている。
テレビ東京で放送されたのは数年前に見たことがあるが、本元のNHKで放送するからには、オープニングやエンディングもカットされないし、CMが入らないのに番組の間に入るアイキャッチの「ぱたぱたラナちゃん」も見られるってことだ。

未来少年コナンNHKサイト
毎週木曜日 教育テレビ 午後7:25〜7:50放送中

『未来少年コナン』は言わずと知れた宮崎駿監督の第1回監督作で代表作で、NHK制作の連続アニメ第1号だった。若い人は観たことがない人も多いと思う。宮崎駿監督の名前が一般の人たちに広く知れ渡ったのは、『風の谷のナウシカ』上映後のずっと後だし、映画と違って1本レンタルして観るわけにいかないし、再放送も少ない昨今、気合い入れないと全26話観るのは結構大変だ。
宮崎駿監督作品は、「唯一デートに使えるアニメ映画」という位置付けになってる気がするけど、
「私、宮崎駿のアニメって他のアニメと違って好きぃ〜ジブリいいよねーッ」
なんて彼氏にしなだれる小娘(ひがみ?)はきっとコナンは観たことがないだろう。せいぜい「トトロ」「魔女宅」「千と千尋」?
ドランクドラゴンの塚地クンのオタキャラのセリフみたいだけど、『未来少年コナン』観ずに宮崎駿を語ってほしくないねっ。だいたい「他のアニメと違って」って他のアニメなんて観たことないだろがっ。雰囲気で言うな。

ハッ! 姿のない幻影に怒ってしまった。

そんなふうに威張っている私だが、実は私も本放送で観たわけではない。『未来少年コナン』が放送されていた当時、私は松本零士ファンのすかしたガキだったので、
「え〜NHKでしょ? なんか真面目っぽーい。SFなのに丸っちいメカしか出てこないし絵が名作劇場みたいだし」
などとほざいて、おもしろいと薦めてくれた友達の友情を無にしていたのだ。
そのときファンだった松本零士作品にしても、
「999のテレビ版は絵がひどいねぇ。7話くらいまではきれいなのにね」
などと批判するヤなガキだったなぁ。
あ、昔話モードに突入してる。もう大した情報はないので興味がなければスルーしてね。

それから数年経って、私は校外でオタク活動を始めたの。
校内ではちょっぴりマンガ好きの体育会系明るい普通少女を貫きつつ(だって友達できないじゃん)、外でオタ仲間と同人誌作ったり、ガンダムの映画に徹夜で並んでフィルムしおりもらったりしてました(恥)。
所属していた特撮マンガアニメサークルの上映会で初めて『未来少年コナン』に出会ったんだな。
サークルの会長でちょっと年上の特撮オタクでロリコンな(最悪…)Rさんが所蔵していた『未来少年コナン』を、ホールの会議室借りて人を集めて2日に分けてぶっ通しでみんなで観ましょうという会があったのだ。それはテレビから録画したものと思われ、今にして思えばもちろん違法なのだがそんなこと思う人は誰もいなかった大らかな時代だった。まぁ時効でしょう。ごめんなさい。

2日続けて観た作品はすばらしかった。ああ、こんなすばらしい世界があったとは! 細部にこだわって大切に大切に作られたのが伝わってくる名作だ。『カリオストロの城』も『天空の城ラピュタ』も原点はここだと思っている。ま、原点は『ホルスの大冒険』という人もいるかもだけど、私はとにかく完成度において『未来少年コナン』をイチオシいたします。正しい心を持った少年と少女がまっすぐな心で冒険を重ね、あらゆる困難をくぐり抜け、愛と友情で幸せを切り開くストーリー。宮崎駿の持ち味、醍醐味は冒険。思春期の少女の心の成長を描いたり、男の美学を唱えたりすることよりも、わくわくする冒険活劇が真骨頂だと思う。自然破壊を憂い文明社会に問題提起する作品も宮崎作品の中には見受けられるが、『未来少年コナン』においては、もちろんそういったメッセージは絶えず含まれつつも、それはテーマではない。冒険心と、正義を愛する一点の曇りもない心と、人間同志のふれあいだ。と思う。
次から次からさらに強い凶悪な敵が出てくる作品が多い中、この作品で本気で悪いのはレプカだけ! あとは小者とどこか憎めない人たちばかりだったっけ。ホントストーリー勝負なのだ。単なる盛り上げとかおためごかしじゃなくて、すべて必要なエピソードに思える。

はー熱く語った。こんなわけですからたくさんの人が観たらいいなぁ。
『ハウルの動く城』観たい人はいい機会なのでこっちもぜひ。

B00005NJKT.09.LZZZZZZZ
未来少年コナン 1

| | Comments (2) | TrackBack (0)

2004.11.04

もうひとつの『MONSTER』

火曜深夜放送中の『MONSTER』のエンディング曲がデビシルだというのは以前ちらと触れたが、今回はイラストについて。
おとぎ話の絵本イラストみたいだなぁと思ってぼんやり見ていたのだが、気がつくと今ので3作目。ちゃんとストーリーになっていた。
大まかなストーリーはこんな感じ。

悪い魔物が街にあらわれて、大男が丸飲みにして退治する。喜ぶ民衆の前で、今度はその大男が魔物に変身してしまう。

簡単に書くと呆気ないが、このゆっくり変化する少ない絵数をぼんやり眺めていると、うわー、そんな話だったんだ、と、じわっとわかって結構怖い。多分1クールで変わって4作目で完結するんだろうな。本編とは直接関係がないけどこちらも気にかかる。

▼VHS
monstervhs
MONSTER(1)

MONSTER DVD-BOX Chapter1

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2004.10.20

『BECK』のエンディング

秋から始まった深夜アニメ『BECK』を見ている。平凡な中学生コユキがロックに目醒め、のめりこんでゆくストーリーは今後の展開が楽しみだ。絵柄はあまり好みじゃないけど、こういう話は大好き。これからどんどんいろんな出会いがあって、バンド組んで、成長していくんだろうなぁ。原作はこれから読むところなんです…。でも音楽アニメは先に原作読んでしまうと自分なりのイメージができあがってしまって、歌聴いてショック受けたりしそうでちょい不安。

ところでこのBECKのエンディングに、和洋さまざまなアーティストのイラストが登場する。洋楽の人はビートルズ(あんま似てないのは肖像権問題をやりすごすため?)やフレディ、シド・ヴィシャスなど有名どころが連なるが、邦楽アーティストのセレクトに偏りを感じる。80年代ニューウェイブ&インディーズの割り合いが多いのだ。人生、有頂天、P-MODEL、ヒカシュー、戸川純、ばちかぶりetc…って視聴者にわかるのかな? この時間帯(水曜深夜25:30〜)好んでこの番組見てるのは、たぶんほとんどが原作ファンとロック好きの暇なワカモノだ。アニオタ好きする絵や話じゃないと思うし。あとはわずかな不良中年? ハッ! あたしか! このエンディングは私のために描かれているのね〜〜と思ってちょっとうれしくなった。どなたがラインナップして描かれたのか知らないが、きっと同世代なんだろうなぁ。インディーズ詳しくはないんだけどこの顔ぶれは懐かしいッス! や、現役活躍中の方も、デビューしてまだ数年の方も含まれてますけれども。
それはそうと髪で片目が隠れたセクシーなお姉さんはいったい誰かなぁ。

▼2005年2月2日発売
beck
BECK〈限定盤DVD-BOX I〉

▼原作本です
4063349241.09.MZZZZZZZ
BECK 20 (20)KCデラックス

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2004.04.08

『鉄人28号』を見た

新作アニメ版『鉄人28号』の第一話が放送された。
「え〜今さら?」と思っていたがなにげなく見てみた。
これが意外に良くて。
昔、昔の『鉄人28号』は再放送で何度か見ているはずだが、
物心つくかつかないか、という年だったので
夢中で見たとか大好きだったという記憶はない。
ソランやロビンや009のほうが好きだった。
80年代にリメイクされたヤツも何度か見たけど
時代に合わないし微妙に80年代風にアレンジされていてかっこよくなかった。
だけど今度のは気合い入っているっていうか、
ていねいに作ってあって作り手側の作品に対する愛みたいなものをすごく感じた。
時代を原作が作られたであろう昭和30年代初頭に持って来たのも
成功の要因だと思う。
あのブリキのおもちゃっぽいロボットのデザインは
どうアレンジしても未来の話には無理だし。
音楽も色づかいもデザインもすべてレトロでとってもいいかんじ。
昔のアニメをリメイクするとき、
その原作や初期版アニメをリスペクトしているかどうかは
作品の出来に大きく影響すると思う。
「今さら昔のアニメのリメイクなんて乗らないな」という気持ちが作り手にあると
それはなんとなく視聴者にも伝わってしまう気がする。
きっと『鉄人28号』は作り手側が作品を愛し、
意欲を持って作っているんだろう。
今後もあのクオリティを継続できたらすばらしいと思った。

B00020Q458.09.MZZZZZZZ
鉄人28号 DVD-BOX 1

| | Comments (0) | TrackBack (1)