「テレビアニメ、今まで見た中で何が好き?」
ともし聞かれたら(聞かれないけど)、私は間違いなくこれだ。
『未来少年コナン』。
この作品がひさびさにNHKで再放送されている。
テレビ東京で放送されたのは数年前に見たことがあるが、本元のNHKで放送するからには、オープニングやエンディングもカットされないし、CMが入らないのに番組の間に入るアイキャッチの「ぱたぱたラナちゃん」も見られるってことだ。
未来少年コナンNHKサイト
毎週木曜日 教育テレビ 午後7:25〜7:50放送中
『未来少年コナン』は言わずと知れた宮崎駿監督の第1回監督作で代表作で、NHK制作の連続アニメ第1号だった。若い人は観たことがない人も多いと思う。宮崎駿監督の名前が一般の人たちに広く知れ渡ったのは、『風の谷のナウシカ』上映後のずっと後だし、映画と違って1本レンタルして観るわけにいかないし、再放送も少ない昨今、気合い入れないと全26話観るのは結構大変だ。
宮崎駿監督作品は、「唯一デートに使えるアニメ映画」という位置付けになってる気がするけど、
「私、宮崎駿のアニメって他のアニメと違って好きぃ〜ジブリいいよねーッ」
なんて彼氏にしなだれる小娘(ひがみ?)はきっとコナンは観たことがないだろう。せいぜい「トトロ」「魔女宅」「千と千尋」?
ドランクドラゴンの塚地クンのオタキャラのセリフみたいだけど、『未来少年コナン』観ずに宮崎駿を語ってほしくないねっ。だいたい「他のアニメと違って」って他のアニメなんて観たことないだろがっ。雰囲気で言うな。
ハッ! 姿のない幻影に怒ってしまった。
そんなふうに威張っている私だが、実は私も本放送で観たわけではない。『未来少年コナン』が放送されていた当時、私は松本零士ファンのすかしたガキだったので、
「え〜NHKでしょ? なんか真面目っぽーい。SFなのに丸っちいメカしか出てこないし絵が名作劇場みたいだし」
などとほざいて、おもしろいと薦めてくれた友達の友情を無にしていたのだ。
そのときファンだった松本零士作品にしても、
「999のテレビ版は絵がひどいねぇ。7話くらいまではきれいなのにね」
などと批判するヤなガキだったなぁ。
あ、昔話モードに突入してる。もう大した情報はないので興味がなければスルーしてね。
それから数年経って、私は校外でオタク活動を始めたの。
校内ではちょっぴりマンガ好きの体育会系明るい普通少女を貫きつつ(だって友達できないじゃん)、外でオタ仲間と同人誌作ったり、ガンダムの映画に徹夜で並んでフィルムしおりもらったりしてました(恥)。
所属していた特撮マンガアニメサークルの上映会で初めて『未来少年コナン』に出会ったんだな。
サークルの会長でちょっと年上の特撮オタクでロリコンな(最悪…)Rさんが所蔵していた『未来少年コナン』を、ホールの会議室借りて人を集めて2日に分けてぶっ通しでみんなで観ましょうという会があったのだ。それはテレビから録画したものと思われ、今にして思えばもちろん違法なのだがそんなこと思う人は誰もいなかった大らかな時代だった。まぁ時効でしょう。ごめんなさい。
2日続けて観た作品はすばらしかった。ああ、こんなすばらしい世界があったとは! 細部にこだわって大切に大切に作られたのが伝わってくる名作だ。『カリオストロの城』も『天空の城ラピュタ』も原点はここだと思っている。ま、原点は『ホルスの大冒険』という人もいるかもだけど、私はとにかく完成度において『未来少年コナン』をイチオシいたします。正しい心を持った少年と少女がまっすぐな心で冒険を重ね、あらゆる困難をくぐり抜け、愛と友情で幸せを切り開くストーリー。宮崎駿の持ち味、醍醐味は冒険。思春期の少女の心の成長を描いたり、男の美学を唱えたりすることよりも、わくわくする冒険活劇が真骨頂だと思う。自然破壊を憂い文明社会に問題提起する作品も宮崎作品の中には見受けられるが、『未来少年コナン』においては、もちろんそういったメッセージは絶えず含まれつつも、それはテーマではない。冒険心と、正義を愛する一点の曇りもない心と、人間同志のふれあいだ。と思う。
次から次からさらに強い凶悪な敵が出てくる作品が多い中、この作品で本気で悪いのはレプカだけ! あとは小者とどこか憎めない人たちばかりだったっけ。ホントストーリー勝負なのだ。単なる盛り上げとかおためごかしじゃなくて、すべて必要なエピソードに思える。
はー熱く語った。こんなわけですからたくさんの人が観たらいいなぁ。
『ハウルの動く城』観たい人はいい機会なのでこっちもぜひ。

未来少年コナン 1
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