江口寿史イラスト集『素顔』
素顔〜美少女のいる風景〜江口寿史イラスト集
江口寿史 著
いや〜待った。
7月上旬発売予定だと思ったのだが9月下旬、やっと発売になった。
出来はすばらしいのだが、描きおろしじゃなく、過去の作品を集めた作品集の発行がこんなに遅れたのはなぜ???
まぁしかし待った甲斐があったというもんだ。
このイラスト集は20世紀の終わり頃、『週刊漫画アクション』の表紙を飾った作品をまとめたものだが、イラスト集とは別冊でイラストのモデルの写真や撮影の状況、制作メモが書かれた本が付いていてとても楽しい。
もちろんイラストはすばらしい!
新たに今までと違う画材に挑戦しているし、こんな巨匠になっても新たなチャレンジをしてるのが素敵〜。
額装した複製原画の発売もある。絶対ほすぃー。
思えば江口さんのファンになって4半世紀。うひゃ〜。
江口さんは私の「心の漫画家ベスト3」のひとりなのだ。
正確には『ストップ! ひばりくん』からのファン。
もちろん『すすめパイレーツ』も読んだけど、あいにくその頃はチャンピオン連載中の『マカロニほうれん荘』に夢中だった。
江口さんはもともと画力はすばらしかったし、パイレーツの頃からセンスの良さも垣間見えると思うが少年マンガの枠を超えてセンスが開花したのは『ストップ! ひばりくん』からだと思っている。
個人的には80年代、『エリカの星』や『パパリンコ物語』の頃の、マンガとイラストの中間にあるような画風が好き。女の子がおめめパッチリでかわいい。ご本人は不本意だったようだが、この頃描かれた「都会的なカップル」のイラストとか大好きだった。
現在はその頃に比べると、シンプルでますますイラスト寄りなイメージを持つ。
当時のイラストは鈴木英人や永井博のような「ヤシの木」したトロピカルな雰囲気もあり、肌に使われた赤いドットのTONEはアメリカンポップでもあり、それでいてPANTONEカラーを使った鮮やかな色とくっきり整理された線は洗練されていて当時のテクノ流行りな風潮ともマッチした。
すごくひきだしが豊富で、器用な人だと思った。
絵のことばかり書いてしまったが、もちろんマンガも大好きだ。
笑い過ぎて涙が出たことあるくらい。
90年代はじめ、自分の職業の付加価値を一度だけ利用したことがあった。
当時私がレイアウト担当していた男性誌のインタビューコラムに、江口さんが登場することを台割(ページ毎の内容を記したもの)を見て知った。新刊発売告知をかねてのものだったと思う。
私はいつもお世話になっていた担当エディターさんにおずおずお願いした。
「あのぅ…インタビューのときにサインなんかもらってきてもらえないでしょうか…無理だったらいいんですけど…」
これは禁じ手だ。仕事中にサインて…。職業人の風上にも置けない行為。
しかし、同行は絶対無理だし、居ても立ってもいられずお願いしてみちゃった。
だってだって大好きなんだもん。
今までエディターさんにこんな個人的なお願いしたことないし。
「あ、いいっすよ。お願いしてみましょう」
うわぁ〜〜〜。エディターさんが天使に見えた。って電話でお願いしたんだけど。
数日後、エディターさんにレイアウト原稿に忍ばせて既刊のイラスト集をセルート(バイク便ね)にて届け、無事サインをいただいた。
今でも私の宝物。
江口様、寡作でも結構ですから末永く描き続けてくださいませ。
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