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2004.03.31

Miss Lonely

もう二.三年くらい前になるだろうか、
伊勢丹の前に佇む女性のことが忘れられない。
たった一度しか見ていないがかなり目立つ人だった。
60代〜70代に見えるその人は
白い長い髪を左右で三つ編みにし、
真紅の口紅をさし、白粉をいっぱいたたいた顔をして
フリルの乙女チックなワンピースに
厚底のハイカットのスニーカーをはいて
薄く笑みを浮かべて佇んでいた。
見てはいけないものを見たようなそぶりで人々は通り過ぎていく。
なぜあんな格好なんだろう。
誰を待ってるんだろう。
いろんな想像をしながら私も通り過ぎた。
未だに忘れることができないのはそのときの私の想像が
あまりにセンチメンタルなものだったからかもしれない。

“彼女はなにかとてもつらい、忘れたいことがあって
 自分の時を止めてしまったのに違いない。”

そう思った。
老人性痴呆症で自分の年齢がわからなくなる人がいるようだが
家族がそばにいればあの格好で伊勢丹の前にひとり立つことはおそらくないと思う。
彼女は孤独なんじゃないだろうか。
なんの根拠もありはしないが。
強く印象に残ったのは
昔聴いたユーミンの歌によく似た境遇に思える歌詞があるせいかもしれない。
戦争に行って帰らない愛する人を待つうち、
娘時代で自分の時を止めてしまった女性の歌。

 ミス・ロンリー
 50年前の日付のままカードを書く
 ときには写真に向って白い髪を編んで見せる
 ミス・ロンリー
 身の上話をまともにきく人はいない

救われたのは彼女が微笑んでいたこと。
きっと不幸ではないんだろうと思った。

斜体部分、松任谷由実『Miss lonely』より一部引用いたしました

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